「いしみらいラボ」は、創業1901年老舗の建築用石材の会社である矢橋大理石が内装に特化した新開発商品「ユニマーブルパネル(uMP)」を展示するための場所である。我々は本物件の内装と家具の設計を行った。東京都文京区千石の矢橋大理石東京支店から徒歩1分に立地している。
「いしみらいラボ」で実現したいことは下記の2つである。
1: 石の魅力を引き出す環境をつくる
実際に大理石が綺麗に見える空間シーンを体験できる「着せ替え可能な」環境とシステムをつくった。uMP仕様の大理石サンプルを14種類準備した。これらをブラック、グレー、ベージュ、ベージュ、赤茶の4つのベースカラーで設えられたコーディネートブース内に配することで、サンプル単体だけではなく、実際に石を施工したような雰囲気で空間づくりの検討ができるように計画した。
また、色調、素材感の組み合わせが検証しやすいように、木材や金属など、石以外の素材のサンプルも備えた。家具も、木材、アルミ、コルク、プラスチックなど、敢えて異なる素材、色調のものを集めている。
2: 石の重厚さと施工性を両立した技術を伝える
uMPは、6mm厚の大理石に15 mm厚のアルミハニカムを接着した複合材で裏面に特殊アンカーを取り付けることで、金物を使った乾式工法を実現している。石を薄く加工したことで、通常の大理石と比べると重量は約1/3となっている。職人の据付負担が軽くなるほか、軽量鉄骨下地でも施工可能となった。
高さ5mの吹き抜けに軽量鉄骨と石膏ボードで下地をつくり、uMP仕様の大理石を施工、展示した。石の重厚さと施工性を両立した技術を伝えている。
「いしみらいラボ」では、建築の中で石が今後どう魅力的に使っていただけるのか、 施主、設計者、施工者それぞれが多くの対話を通じて、検証できる場になればと考えてる。